業績を↑向上↑させるオフィスレイアウト
オフィスのレイアウトは業績にも影響するとても重要なポイントです。
ここではオフィス管理士がFM(ファシリティマネジメント)※1に基づいた、オフィスのゾーニング※2や、レイアウトをご紹介いたします。
オフィス管理士はまだまだ少数のため、オフィスを設計するデザイナーのなかでも有資格者は稀です。質の高いオフィスデザインも大事ですが、オフィス管理士がご紹介する機能や動線にご注目ください。
※1.FM(ファシリティマネジメント)とは、オフィスの設備または施設を経営資源・経営ツールのひとつとして捉え、適切なコストで最大の効果を生むために多くのマネジメント手法を応用し、体系づけたものです。
※2.ゾーニングとは、部門間のコミュニケーション、動線、業務効率など、仕事の流れに基づいた配置を明確化し、オフィス全体のスペースを適切に配置させることをいいます。
オフィス環境が与える影響
より良い人材を確保する為、オフィス環境を良くしていこうとしている企業も増えてきています。
私は仕事柄、様々な経営者の方とお会いでき、お話させていただく機会があります。
考え方も様々で、「デスクや椅子をいい物にしたところで会社に利益をもたらすわけではない」と言う方もいれば「より良い環境で仕事ができれば、より良い仕事ができる!」と言う方もいらっしゃいます。
さて、どちらが良い考えなのでしょう。
デスクワーク主体の今の時代、デスクワークで情報などを収集、蓄積し加工し生産しています。
それこそが会社に利益を生む時代です。
オフィスをより良い環境にすることで、業務に携わる社員の「モチベーション」「コミュニケーション」「チームワーク」を向上させ業績に直結させる事も可能です。
その主体となる生産の場であるオフィスの環境が悪ければ、良い仕事ができるでしょうか?
単なる「事務作業の場」と捉えるか、「知的生産の場」と捉えるかで意識も変化するでしょう。
オフィスのゾーニングについて −大まかなゾーニング−
ゾーニングでオフィスの使いやすさはほぼ決まる。
オフィスのレイアウトをする上で最初に必要になるのが、ゾーニング(空間を用途別に分けて配置すること)についてです。
このゾーニングでオフィスのレイアウトの良し悪しがほぼ決定します。
- 1.来客者(部外者)が立ち入れる場所(EVホール、トイレ、受付、待合室など)
- 2.社員のみが立ち入れる(執務スペース、役員室、会議室、資料室など)
- 3.社員と来客者が共有するスペース(打ち合わせコーナー、リフレッシュスペース、喫煙コーナーなど)
この3つのスペースが持つ違いは大きく、従業員の流れや特に来客者の流れを考えながら全体とのバランスを保たなければなりません。
このゾーニングは個人情報保護法に伴うプライバシーマークやISO27001を取得する際にも重要なポイントになります。※プライバシーマークとSO27001に関しては後々ご説明します。
まず最初に、大きなゾーニングを決定することが後々、良いオフィスレイアウトをする重要なポイントになります。
オフィスのゾーニングについて −部門単位のレイアウト−
受付・打合せコーナー・応接室・総務・経理・営業・企画・広報・購買・コールセンター・取締役室・リフレッシュコーナー・喫煙室・倉庫・サーバールーム等々、企業によって違いはありますが部門単位の区切りがあります。
部門単位での関係性を考慮し密接な関係をもつ部門を隣接することで業務の効率化をはかります。
部門・エリアごとの関連性を調べる
受付スペースの近くに執務系の部門を配置したり、営業部と購買部は書類やコミュニケーションが多い場合は隣接するなどの計画が必要となります。
社内の部門ごとの関係を把握することで業務効率の良いレイアウトを作成することができます。
上記の表組みのようなマトリックスを作成すると解りやすいと思います。
一人当たりのワークスペース
一人当たりのワークスペースはいったいどれくらいでしょうか?
営業系部門と業務系部門で異なりますが一般的なスペースを明記します。
営業系部門
1.2m×1.6m=1.92u
業務系部門
1.4m×1.6m=2.24u
単純にデスクの大きさと着座スペースの算出になりますがワークスペースの目安になります。
これに加え、通路、収納スペース、共有スペース(会議室や倉庫など)、役員室などのスペースが追加されます。
動線
オフィスには基準になる通路の幅があり、仕事を円滑にするために定められた設定基準があります。
オフィス内での人の移動は頻繁にあり、その流れを妨げないようなレイアウトをする事でより良いオフィス環境になります。
頻繁に移動する部門の間やコピーやFAX、プリンター等の使用頻度が高い機器への動線を短くすることで移動時間を短縮し効率アップを図ると共にと利用者への負担軽減になります。

災害時での非難経路としても重要で非常時はパニックになる恐れもありますので、メインになる動線は余裕のある広さにする事と単純な造りにすることをお勧めします。
非難経路の確保をする
廊下は建築基準法・消防法に定められた寸法があります。これは災害時の時に安全に移動できるよう定められた値です。
廊下が広いといってキャビネットを置いたりすることは避けてください。通路が狭くなることはもちろんのこと、地震の時は転倒して通路をふさいでしまう恐れがあります。
建築基準法施行令第119条より
オフィスの通路幅 メイン動線

人の標準的な寸法として肩幅が450mmとされています。
ある程度の余裕を考えて最低でも1.2m以上は必要となります。
これは法的縛りはないのであくまでも円滑に人の行き来ができる為の寸法になります。災害時の面でも考慮したい事項なのでできるかぎりメインの通路及び高い仕切りで囲んでいる通路は広く取ることをお勧めします。
オフィスの通路幅 壁面とデスク

デスクワークで着座した場合デスクから約450mm程度、着座スペース必要となります。
実際のチェア可動距離はもう少し広く600mmは必要になりますが、あくまでもデスクワークをしている場合で算出します。
約1.4m確保すれば円滑な動線が確保できます。※メイン動線ではない場合。
役職者の後ろなどで人を通したくない場合はあえて通路を狭くする事もあります。
その場合デスク後ろは800〜900mmが基準となります。
目的によって通路幅の基準も変化するので全体のスペース配分を考え通路幅を決めましょう。
オフィスの通路幅 デスク間

スムーズに人が通れるスペースとしては約1.8mあればオフィスが円滑に機能します。
両サイドが着座しデスクワークをしている場合に、人が一人スムーズに歩ける寸法になります。
スペースに余裕が無い場合でも経験上、最低寸法として1.4mないと横歩きでも厳しくなりますので注意してください。
人が通るたびに椅子を引かなければいけないようでは集中力も途切れてしまい、機能的オフィスとは言えません。
集中力や効率を考えてもより広い通路を確保したいところです。
オフィスの通路幅 デスクサイド間

スクール式レイアウトなどで配置したオフィスで多く見受けられる通路です。
デスクサイド間の通路で比較的圧迫感のないこと、チェアのスペースとの絡みもないことから一般的に90cmあれば充分とされています。
メイン動線にした場合は1.2mは必要になりますので全体のレイアウトを考慮して通路幅を決める必要があります。
オフィスの通路幅 デスクサイドとデスク間
このパターンも通路を歩いている人と椅子に座ってデスクワークをしている人がお互い妨げにならないように考慮した通路幅が必要になります。
メイン通路にする場合は1.6mは設けた方がよいでしょう。
オフィスの通路幅 デスク・収納間

一般的にオフィス収納の奥行は40〜50pです。
引出タイプをいっぱいに引き出した際に約40pのスペースと作業している人のスペースを考慮すると約1.8mは確保したいところです。
ほとんど収納の出し入れが無いキャビネットに関しては1.2mの通路があれば良いでしょう。
オフィス環境の意識調査
この調査は社員が現状使用しているオフィス環境をどのように感じ、満足しているかどうかを調査し課題を把握するものです。
現状のオフィス環境に対して、実際に使用しているワーカーがどのように感じているか、何に不満があるのかを知ることだできます。
調査内容はあまり負担を掛けない程度にしておき、項目はできるかぎり少ない方がよいでしょう。
この調査は改善後にも実施し、改善効果を測定することもできます。
オフィス環境の意識調査の例 −設備−
1.オフィス全体のスペースの広さ
2.執務スペースの広さ
3.通路の広さ
U.ワークステーション
1.仕事に合った機能
2.作業スペースの広さ
3.情報機器の配置
4.情報機器の操作性
5.仕事への集中の度合い
6.チェアの座り心地
7.ワークスペースの開放感
V.レイアウト
1.レイアウトのバランス
2.自席へのアプローチ
3.他スペースへの動線
4.スペースの無駄
W.収納
1.自席での収納量の確保
2.共用収納量の確保
3.ファイリングシステムのレベル
4.収納家具と収納物の適合性
5.共用収納へのアプローチ
X.コミュニケーション
1.自席でのコミュニケーション
2.グループ内のコミュニケーション
3.会議の頻度と会議室の過不足
4.打合せの頻度と打合せ設備の過不足
5.情報ネットワーク
6.インフォーマルコミュニケーション
Y.リフレッシュメント
1.自席でリフレッシュできる
2.リフレッシュスペースの有無
3.リフレッシュできる程度
4.グリーン・アートの採用の程度
5.窓からの景観への配慮
6.喫煙スペースの有無
オフィス環境の意識調査の例 −環境編−
1.室内全体の明るさ
2.光のやわらかさ
3.机上面の明るさ
4.自席の明るさの調整
5.モニターへの光の写り込み
U.空気
1.四季を通じた室内環境の適度さ
2.オオフィス内での暑い・寒い場所の有無
3.四季を通じた湿度
4.空気のきれいさ
V.音
1.隣接する人の電話などの声
2.情報機器やコピーの騒音
3.外部からの騒音
4.空調音
5.BGMの有無と必要性
W・安全面
1.自席での安全への配慮
2.避難経路の確保
3.配線の安全性
4.床材の滑走など
5.収納家具などの耐震対策
オフィス環境意識調査の集計をする
ステップ1 人数の集計をする
| 調査人数の集計(人数) | 満足 |
ほぼ満足 |
どちらとも |
やや不満 |
不満 |
| 7 | 14 | 10 | 6 | 3 |
ステップ2 各回答のウェイトを振り分ける
| 各段階のウェイト(「Point ) | 満足 |
ほぼ満足 |
どちらとも |
やや不満 |
不満 |
|
| 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
ステップ3 ウェイトを人数を掛ける
| ポイント算出 (人数×ポイント) |
満足 |
ほぼ満足 |
どちらとも |
やや不満 |
不満 |
| 35 | 56 | 30 | 12 | 3 |
ステップ4 ポイントの合計を出す
ポイントの合計 35+56+30+12+3=136point
ステップ5 ポイントの平均を出す
評価値の算出 ポイントの合計/人数 136/40 =3.4point
このアンケートの評価値は 3.4 pointになります。
平均値は3pointですのでポイントの面では良い評価と言えるでしょう。
集計をしたら分析をします。
オフィス環境の意識調査 結果を分析する

上記の図は集計したオフィス環境の意識調査を回答別に円グラフにしたものです。
図1は、評価値も3.4で「満足」と「ほぼ満足」の割合が52.5%と多いことから、
現状は「問題は無い」と判断します。
図2に関しては、評価値3.02と、評価値から判断すると良くも悪くもないという状態です。
しかしながら回答内容を分析すると「満足」と「ほぼ満足」が40%、
「不満」と「やや不満}が40%となっており、「満足」と「不満」が両極端に分かれています。
不満とやや不満と回答している人数の割合が高く、バランスが悪い点から
「検討の余地あり」と判断します。
良い部署と悪い部署が極端にあると考えられ、再調査をおこない、
どのような問題があるか確認し検討する必要があります。
オフィス環境の改善前と改善後を比較する
オフィス移転やリニューアルした後の効果を測定することができます。
改善直後は必要以上に「改善された」と思ってしまう傾向にあります。これをハネムーン効果と言い、あまり正確なデータとは言えません。
測定の目安として半年〜1年程度経過して、利用者が仕事や環境に慣れてくる頃が良いでしょう。
とくに、春夏秋冬を経験した1年後がより良いデータが取れるでしょう。




